『沈黙の声 (カミユ文庫)』 VHSビデオを鑑賞
2017年12月に上野の美術館や博物館に行った後、秋葉原に行きました。
その目的はビデオカセット(以下、VHSビデオ)を見ること。
なんだか字面だけだと怪しいものを見るような雰囲気がしますが、そうではありません。図書館で借りた「沈黙の声」に付属のビデオを見るために行ったのです。
『沈黙の声 (カミユ文庫)』 とは
内容(「BOOK」データベースより)
本 遠藤氏自らの人生を重ね合わせた待望の書。ビデオ 名作『沈黙』の舞台・長崎を著者自らがたどる(「母なるもの―人間の同伴者」)。本とビデオで迫る遠藤文学の真髄。内容(「MARC」データベースより)
〈ビデオカセット付き〉遠藤氏自らの人生を重ね合わせた待望の書「沈黙の声」と、名作「沈黙」の舞台・長崎を著者自らがたどるビデオで迫る遠藤文学の真髄。
1992年に発売された書籍&VHSビデオで、小説『沈黙』の理解をさらに深めたい読者には魅力的な内容です。しかも遠藤先生ご自身が出演している映像も付いている!
しかし、中古でも最低17,000円もするので、簡単には買えません。
書籍の方は、2017年に新装丁で発売されましたので、入手は簡単だと思います。
しかし、そうなるとなおさらVHSビデオの方が見たくなりました。
そこで、いつも利用している図書館で蔵書検索してみると、1冊VHS付きで蔵書があったのです。早速ネットで予約して、図書館の窓口でVHSビデオも一緒に取り寄せてほしいとお願いしました。その後、予約から1週間ほどで受け取ることができました。
平成29年にVHSビデオを見る方法を検討する
さて、VHSビデオはめでたく借りることができました。
次はこれを2週間以内に安全に心置きなく見る方法を探さなければなりません。
うちにはVHSビデオデッキ(以下、デッキ)がないからです。
デッキの国内生産も終了してしまっています。
そこで、いろいろネットで検索しました。
- 図書館で視聴する
残念ながら、私の最寄りの図書館では視聴する環境はありませんでした。
図書館の中には、映像資料等を視聴できるところもあるようですが、その図書館が所蔵しているものに限る場合がほとんどのようです。中央図書館 で所蔵しているCD・ビデオ等を、中央図書館内で視聴できます。調査研究用として各種の映像記録、ビジネス解説などの映像資料のほか、音楽CDも視聴できます。貸出はしていません。
所蔵ビデオ・LD・DVDが視聴できる東京23区の公立図書館リスト―東京図書館制覇!
図書館の視聴機で見られるのはあくまでも図書館が所蔵している映像資料だけ。家などから見たいビデオ・LD・DVDを持ってきて図書館で見ることはできませんので、ご注意ください。 - デッキをレンタルする
今でもデッキのレンタルってあるんですね。でも1週間3,500円~。宅配便でのデッキの貸出・返却はちょっと面倒かな…。
- デッキを買う
ヤフオク!で、中古のデッキを買うことも考えました。でも、完動品はそれなりのお値段。自宅で今後もビデオデッキを使い続けるか…といったら、そういうニーズはありません。
- 職場で借りる
確か、私の職場の入っているビルの会議室にデッキがありました。でも個人的に貸して欲しいとは申し出るのは心理的に無理です…。 - 一般の貸し会議室を借りる
検索してみると、デッキ備え付けの貸し会議室は結構まだあるもんですね。
でも、会議室を個人で借りて、1人でビデオを見るってやっぱりちょっと恥ずかしい…。
- カラオケボックスに行く
これだ!これがありました!ひとりカラオケなら気持ち的にラクです!
カラオケボックスなら音が大きくても大丈夫。しかもほどよい大きさの個室がリーズナブルなお値段で利用できます。デッキを貸し出しているくらいですから動作確認も大丈夫でしょう。
いろいろ検索・問い合わせした結果、パセラリゾーツAKIBAマルチエンターテインメントにデッキがあることがわかりました。
Webで部屋のみで予約し、要望欄に「 VHSビデオを見たいので、デッキの用意をお願いします。」と記載しました。
懐かしのデッキにドキドキ
当日は、受付で部屋を確認し、お部屋へ行くとテーブルにデーンとこのデッキが鎮座していました。(三洋電機のVZ-H502)
お部屋担当の店員さんが親切にも使い方を説明してくれて「動くか確かめてみましょう」とVHSビデオを入れるよう促すので、ちょっと戸惑いながらも入れてみました。
すると、きちんと、そして思ったより大きい音でビデオの再生が始まり、いきなり山本圭さんの重厚な朗読が始まり、私はドギマギ。
「仕事の資料なので…」などと必要ない言い訳をしながら、「操作は大丈夫なので、ありがとうございました。」と店員さんに飲み物を注文して(1ドリンク付き)、定員さんは退出されました。
それから、急いで巻き戻して最初から鑑賞しました。巻き戻す時のキュルキュルという音が懐かしいのと同時に、テープが切れやしないかとヒヤヒヤしました。
鑑賞中、やはりここはカラオケボックスですので、隣室からの熱唱は響いてきます。でも、それほど気になりませんでした。飲み物をのみながら、誰にも邪魔されることなく、じっくり鑑賞できました。
2時間利用して、料金は1,000円ほど。
この平成の終わりに、VHSビデオをきちんと見ることができる場所としては、カラオケボックスは私にとっては最適でした。
ビデオ『母なるもの 人間の同伴者』(60分)の内容とは
映像はトータル2回程見ました。
メインは山本圭さんの朗読でした。その間にキリシタンに関する資料映像や、遠藤先生がゆかりの地を歩いている映像、遠藤先生のインタビューが差し込まれていました。
山本圭さんの情感のこもった朗読は映画とはまた違った迫力がありました。
遠藤先生のインタビューは、基本的には書籍の『沈黙の声』に書かれた内容を語っていました。
インタビューがあまりお好きではないのか、もしくは書籍で書いたことをあらためて聞かれるのが照れくさいのか、終始、カメラから目線をそらしてお話されているのが少々気になりました。
そもそも、『沈黙』が刊行されてから26年後にこの『沈黙の声』を主にビジネス雑誌を出版しているプレジデント社から発売したのはなぜなのかな?と思いました。
(当時、『カミユ文庫』シリーズで、いくつか他の作家でもVHSビデオ付きの書籍が発売されたようです。)
でも、まだ記念館ができる前の長崎の外海の海岸に佇む遠藤先生のお姿や、「人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです」という言葉が刻まれた「沈黙の碑」に手をつきながら語るお姿を見ることができて、感慨深いものがありました。
VHSビデオの映像は、いずれテープが劣化するか、再生機が動かなくなるかのどちらかで、見ることができなくなってしまうので、DVD化や動画化がされるとよいのに、と思いました。