【ネタバレあり】映画『沈黙ーサイレンスー』英単語帳: Inquisitor
映画を何回も見返して、初めて知った単語や使い方が気になり、この映画の頻出英単語をまとめたくなりました。まずひとつ目はこれ!
Inquisitor
いきなり超難しい!この映画で初めてこの単語を知りました。
でも映画では全編にわたり頻出するワードです。
"Inquisitor Inoue sa-ma"
"qui"のところが特に発音が難しい。でもなぜか自分も言いたくなっちゃいます。
ところで、小説では「まえがき」で初めて「宗門奉行に任命された井上筑後守」が出てきます。
でも、英語版の小説では、
"Inquisitor Inoue "
ではなく
"magistrate Inoue,the Lord of Chikugo"
と書かれています。
その後も
"Governor of Chikugo"
"Lord of Chikugo"
だったり、筑後守を「奉行」と表現している箇所は
です。
"Inquisitor"は英語版の小説には出て来ないようです。
というのは、英語版がKindleになっていれば全文検索できるのですが、そうではないので、まず、日本語の小説の方をめくりつつ「筑後守」という語を探し(漢字の方が目に止まりやすいので)、そこに該当する箇所を英語版で探す…という作業をして上記に書いたようなものを探しました。が、全部は照合しきれず…。
でも、かなり後半の方まで見ても"Inquisitor"は出てこないので、後半でこんな特殊な単語がいきなり出て来るとも思えず、上記のように推量しました。
なぜ映画では"Inquisitor"を使ったのか?
"Inquisitor"はこの単語のみで「宗教裁判官」という意味があるそうです。
"Inquisitor"を画像検索したら、スターウォーズのゲームのキャラクター?みたいなのがいっぱい出てきました。
ということは、英語話者なら結構誰でも意味を知っている単語なんでしょうか?
筑後守のことを"Lord"としてしまうと、キリストのことも"Our Lord"(我が主)と呼んでいたりするので紛らわしいし、"Governor"だとアメリカでは「州知事」のことになってしまうし、"magistrate"だと「裁判の判事」になってしまうので、現代っぽくなってしまいます。
『沈黙』での井上筑後守の役割はまさに宗教についていろいろ尋問する役割なので、やはり"Inquisitor"がぴったりですね。さらに歴史を感じさせる古風なニュアンスがありそうです。
さらに、"sa-ma"をつけることで日本らしくなるという!
(英語圏でも、日本語には敬称として「様」をつけることが、一般的に知られていることなのかはよくわかりませんが…。)
ところで知らない英単語を画像検索すると、単語が表すものが何か画像で出てくるのでよいですね。
前に「駅員」を英語で言いたくて「Station Clerk」かな?と思って検索したら「ガソリンスタンドの店員」がいっぱい出てきて、間違っていることがよくわかりました。「Station Staff」でいいみたいです。
すいません、余談でした。
もし私に英語で文章を書く能力があったら、映画を監修したヴァン ・C・ ゲッセル教授にこの"Inquisitor"について聞いてみたいです。
ゲッセル教授自身が映画について解説しています。英語字幕あり!ぜひ見てください!
上記動画で解説された内容の概要が読めます。
■長崎文献社ブックレット No.1■
『沈黙』刊行50年記念国際シンポジウム 全記録
こちらも映画を理解するのに必読です!
【追記】
英英辞典でも調べてみました。
inquisitor | Oxford Advanced American Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com
- a person who asks a lot of difficult questions, especially in a way that makes you feel threatened
- an officer of the inquisition of the Roman Catholic Church
直訳すると「殊更脅されているように感じる方法で、多数の難しい質問をする人」、「ローマカトリック教会における尋問官」とのこと。
inquisitionを画像検索したら、中世の異端審問の絵画がたくさん出てきました。
映画で出てくる拷問と似ています。
"Inquisitor"は英語圏では、中世の異端審問を彷彿とさせる言葉なのだとわかりました。