【ネタバレあり】なぜあのキリストの顔が選ばれたのか・映画『沈黙‐サイレンス‐』を見て・その3
【ネタバレが含まれていますので映画未見の方はご注意ください】
なぜあのキリストの顔が選ばれたのか
映画の中でロドリゴが折に触れて思い返すキリストの顔、私は、それが出てくるたびにドキッとして、心臓が縮むような緊張感を感じました。こちらをじっと見られていて、何か怖いような…。
映画館の大スクリーンで見たらものすごくびっくりしたと思います。
この肖像画はエル・グレコが描いたものだそうです。
監督 (映画では)エル・グレコが描いたキリストの顔を選びました。ピエロ・デラ・フランチェスカのものよりも思いやりに満ちていると思ったからです。キリストの顔は(私にとって)いつも安らぎであり、喜びでした。
詳しく言うと、エル・グレコが1580から1582年にかけて描いたと言われる「聖ヴェロニカのヴェール」で、聖ヴェロニカが持っている布に描かれたキリストの顔らしいです。
El Greco - The Complete Works - The Veil of St Veronica 1580-82 - el-greco-foundation.org
彼女は、十字架を背負いゴルゴタの丘へと歩くキリストを憐れみ、額の汗を拭くよう自身の身につけていたヴェールを差し出した。キリストは彼女の申し出を受けて汗を拭き、ヴェールを彼女へ返した。すると、奇跡が起こった。ヴェールには、キリストの顔が浮かび上がっていたのである。この伝承から、絵画や彫像の聖ヴェロニカは、聖顔布を手にした姿で表される。
私が怖く感じたのは、色味と黒目がちな瞳だからでしょうか。そして真っすぐこちらを見ているから…。
ちなみにピエロ・デラ・フランチェスカが描いたキリストはこれらが有名とのことです。
Battesimo di Cristo (Piero della Francesca) - Wikipedia
エル・グレコのものとはかなり印象が違いますね。
なんかちょっと、お疲れ気味のような…。
私が小説を読んでいた時は、こんなキリストをイメージしていました。
ところで、このエントリーの最初で私は「らしい」と書きました。
もう一度映画を見返して、私はある仮説を思いついたのです。
それがどんな仮説かは次回詳しく書いてみたいと思います。
つづく。